「パフォーマンスの良いインデックスファンドを選びたい」
インデックスファンドを探していると、こんな風に考えていませんか?
「去年パフォーマンスの良かったファンドがいいんでしょ?」 「たくさんあるインデックスファンド、どう選べばいいの?」 「運用会社によって収益率が違うよね?」
実は、これらの考え方には大きな落とし穴があります。
はじめに結論:いいインデックスファンドとは指数との乖離が少ないもの
結論から言いましょう。
いいインデックスファンドの条件は、「パフォーマンスが良い」ことではありません。大事なのは「指数との乖離が少ない」こと。つまり、目標とする指数の動きにどれだけ正確に追随できているかが重要なんです。
例えば、eMAXIS Slim S&P500は、指数との乖離が小さく、良いインデックスファンドの代表例と言えます。
なぜ「パフォーマンスの良さ」ではなく「乖離の少なさ」が重要なのか。これから具体的な数値を使って説明していきましょう。
1. そもそもインデックス投資とは
1-1. インデックス投資の基本
インデックス投資って、実はとてもシンプルな考え方です。
「世界の会社に少しずつ投資する方法」とも言えるインデックス投資。これは株式市場の指数(例えばS&P500のような)の動きに合わせて投資をする方法です。
例えるなら、満員電車の中で本を読むようなものです:
- 通常の投資:電車に揺られながら一文字一文字丁寧に読もうとする
- インデックス投資:電車の動きに身を任せて、自然に本を読む
インデックスファンドは、後者の方法を選んでいます。市場の動きに逆らうのではなく、その流れに乗っていくという考え方です。
1-2. 指数との関係
上のグラフを見てください。青い線が指数の動き、緑の線が乖離の小さい(良い)ファンド、赤い線が乖離の大きい(悪い)ファンドを表しています。
良いインデックスファンドは、まるで影絵のように指数の動きを忠実に追いかけます。一方で、乖離の大きいファンドは、どうしても指数から離れた動きをしてしまいます。
乖離が発生する主な理由は:
- 運用にかかるコスト(信託報酬など)
- 売買のタイミングのズレ
- 保有銘柄の調整にかかる時間
ただし、ある程度の乖離は避けられません。大事なのは、その乖離をできるだけ小さく保つこと。
一般的に、年間0.2%程度の乖離なら許容範囲と言えます。それ以上乖離が大きくなると、本来得られるはずだった収益を逃してしまう可能性が高くなります。
2. データで見る良いインデックスファンドの条件
2-1. 乖離率の具体例
実際の数値で見てみましょう。
良いインデックスファンドの例:
- 指数が年間10%上昇→ファンドが年間9.8%上昇(乖離0.2%)
- 指数が年間-5%下落→ファンドが年間-5.2%下落(乖離0.2%)
良くないインデックスファンドの例:
- 指数が年間10%上昇→ファンドが時には8.5%上昇、時には11.5%上昇(乖離1.5%)
- 指数が年間-5%下落→ファンドが時には-6.5%下落、時には-3.5%下落(乖離1.5%)
一見すると、わずかな違いに見えるかもしれません。でも、この差は長期投資では大きな意味を持ちます。
例えば、20年間投資を続けた場合:
- 乖離0.2%のファンド:ほぼ指数と同じリターン
- 乖離1.5%のファンド:指数と比べて大きな差が出る可能性
2-2. パフォーマンスと乖離の関係
「でも、パフォーマンスの良いファンドを選んだ方がいいんじゃないの?」
この考え方には大きな落とし穴があります。
なぜなら:
- 指数を上回るパフォーマンスは継続しない
- たまたま指数を上回ることはあっても、それは運や偶然の可能性が高い
- むしろ、大きく上回ったということは、それだけ指数から乖離していた証拠
- 上に乖離するときもあれば、下に乖離するときもある
- 前のグラフで見たように、乖離の大きいファンドは上下どちらにもブレる
- 結果として、長期的には指数に対して出遅れてしまう可能性が高い
- 長期投資では安定性が重要
- インデックス投資の目的は「指数と同じリターンを得ること」
- 指数を大きく上回ることを目指すのは、むしろリスクが高い
3. 良いインデックスファンドの見分け方
3-1. 乖離率の確認方法
良いインデックスファンドを見分けるには、トラッキングエラー(指数との乖離率)を確認します。
トラッキングエラーは、数値が小さいほど良いファンドと言えます:
- 0.2%以下:とても良い
- 0.2%~1.0%:許容範囲
- 1.0%超:要注意
実際の確認手順:
- まずは年間の値動きを比較
- 指数の値動きとファンドの値動きを並べて確認
- 上下のブレ幅をチェック
- トラッキングエラーの数値を確認
- 運用報告書やファンドの説明資料で確認可能
- 小さい数値ほど良い
- 継続的なチェック
- 一時的な乖離なのか、恒常的な乖離なのかを判断
- 傾向的に乖離が大きくなっていないかをチェック
例えば、先ほど例に挙げたeMAXIS Slim S&P500は、トラッキングエラーが非常に小さく、指数との乖離が少ないファンドの代表例です。
まとめ
いいインデックスファンドとは:
- パフォーマンスの良さではなく、指数との乖離の少なさが重要
- トラッキングエラー0.2%以下が理想的
- 安定して指数に追随できているかがポイント
投資は長期戦です。派手なパフォーマンスを追い求めるのではなく、地道に指数に追随するファンドを選ぶことが、長期的な成功への近道となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。このブログでは引き続き投資初心者のあなたに向けて、わかりやすく実践的な情報を定期的に配信していきます。ブログのシェアやコメントお待ちしております。
ではまた、次の記事でお会いしましょう。ロキでした。
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