今回は、S&P500を含む海外投資において避けて通れない重要なトピック、為替リスクについて詳しく見ていきます。特に、実際の投資経験を交えながら、実践的なアプローチを提案していきます。
結論:為替ヘッジなしの投資信託がおすすめ
結論から言えば、S&P500などの海外インデックスに投資する際は、基本的に為替ヘッジなしの投資信託をおすすめします。その理由は主に以下の3点です。
・為替ヘッジにはコストがかかり、長期的なリターンに悪影響を与える可能性がある
・為替変動は長期的には相殺される傾向がある
・為替変動を予測することは極めて困難であり、シンプルな投資戦略のほうが継続しやすい
それでは、これらの理由について詳しく見ていきましょう。
理由1:為替ヘッジのコスト
為替ヘッジ付きの投資信託は、為替変動のリスクを軽減してくれますが、そのヘッジ操作にはコストがかかります。このコストは投資信託の運用費用に含まれ、結果として投資家のリターンを減少させる要因となります。
私自身、eMAXIS Slim S&P500やオールカントリーなどの投資信託を選ぶ際、為替ヘッジなしを選択しています。その主な理由は、ヘッジコストを避けることで、長期的により高いリターンを期待できるからです。
理由2:長期的な為替変動の相殺効果
為替レートは短期的には大きく変動することがありますが、長期的に見ると一定の範囲(レンジ)内で動く傾向があります。つまり、長期投資において為替変動の影響は相殺される可能性が高いのです。
私の投資戦略は、主に老後の資金作りを目的としています。具体的には60歳前後での使用を想定していますが、可能であればもっと早い段階での金融的自立(FI: Financial Independence)も視野に入れています。このような長期的な視点で考えると、短期的な為替変動にあまり左右されない投資方針が適していると考えています。
理由3:為替予測の困難さ
為替レートの変動を正確に予測することは、プロの投資家でさえ極めて困難です。個別企業の株価予測ですら難しいのに、為替は更に多くの要因が絡み合って決定されます。
例えば、ドル円の為替レートを考える際、単純に日本とアメリカの経済状況だけでなく、他の国々の政策や世界情勢なども影響してきます。これらすべての要因を考慮して為替を予測することは、個人投資家にとってはほぼ不可能と言えるでしょう。
私自身、株式投資を勉強して良かったことの一つは、経済ニュースに敏感になれたことです。為替の変動があれば、その背景にある要因を考察するようになりました。しかし、それでも為替の動きを予測することは極めて難しいと実感しています。
具体例:為替ヘッジなし投資の実践
ここで、為替ヘッジなしの投資信託を選択した場合の具体例を見てみましょう。
ケーススタディ:30歳のサラリーマンBさんの場合
Bさん(30歳、会社員)は、eMAXIS Slim S&P500に毎月5万円の積立投資を始めました。為替ヘッジなしを選択しています。
投資開始時:
- 為替レート:1ドル = 100円
- 毎月の投資額:5万円(500ドル相当)
5年後:
- S&P500の値上がり:年平均7%
- 為替レートの変動:1ドル = 120円(円安)
この場合、Bさんの投資成果は以下のようになります。
S&P500の値上がりによる効果: 500ドル × 60ヶ月 × (1.07)^5 = 42,000ドル
円安の効果: 42,000ドル × 120円 = 5,040,000円
もし為替が変動せず1ドル = 100円のままだった場合、4,200,000円になっていたところです。この例では、円安の効果でさらに840,000円のリターンを得ることができました。
しかし、逆に円高になった場合は、為替差損が生じる可能性もあります。例えば、1ドル = 80円になった場合、同じ42,000ドルが3,360,000円の価値になります。
このように、為替ヘッジなしの投資は為替変動の影響を受けますが、長期的に見ればそのリスクとリターンは相殺される傾向にあります。
為替リスクへの対応策
為替ヘッジなしで投資する場合でも、以下のような対策を取ることで、リスクを軽減できます。
長期投資: 短期的な為替変動に惑わされず、長期的な視点で投資を続けることが重要です。
ドルコスト平均法: 定期的に一定額を投資することで、為替変動の影響を平準化できます。
分散投資: S&P500だけでなく、他の地域や資産クラスにも投資することで、リスクを分散できます。
リバランス: 定期的にポートフォリオを見直し、必要に応じて調整することで、為替変動の影響を抑えられます。
情報収集: 経済ニュースに注目し、為替変動の背景にある要因を理解することで、より冷静な投資判断ができます。
個人的な投資経験から学んだこと
私自身、海外市場への投資を選択した理由の一つは、リスク分散です。日本で働いているため給与を日本企業から得ていますが、もし日本経済が危機的状況に陥った場合、給与と日本株投資の両方が影響を受ける可能性があります。そのため、海外市場への投資によってリスクを分散しています。
また、為替変動に一喜一憂しないよう、短期的な結果はあまり見ないようにしています。代わりに、経済ニュースに注目し、為替変動の背景にある要因を理解するよう心がけています。これにより、投資に対するより冷静な姿勢を保つことができています。
結論:為替を恐れず、長期的視点で投資を
為替リスクは海外投資において避けられない要素ですが、それを過度に恐れる必要はありません。為替ヘッジなしの投資信託を選択し、長期的な視点で淡々と積立投資を続けることが、多くの投資家にとって賢明な戦略と言えるでしょう。
為替変動を予測することは極めて困難です。そのため、予測に頼るのではなく、時間の力を味方につけ、複利の効果を最大限に活用する戦略が有効です。
最後に、投資は個人の状況や目標によって最適な方法が異なります。この記事で紹介した戦略は一般的なガイドラインであり、個々の状況に応じて調整する必要があります。自身の投資目標やリスク許容度をよく理解しましょう。
皆さんも、この記事を参考に、為替リスクを考慮しつつも恐れすぎない、バランスの取れたS&P500投資を検討してみてはいかがでしょうか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。このブログでは引き続き投資初心者のあなたに向けて、わかりやすく実践的な情報を定期的に配信していきます。ブログのシェアやコメントお待ちしております。
ではまた、次の記事でお会いしましょう。ロキでした。
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