給与が上がったはずなのに、なんだか生活が苦しくなっている―。
スーパーでの買い物、外食、光熱費の請求書を見るたびに、そんな感覚を覚える方は多いのではないでしょうか。
この感覚は決して気のせいではありません。最新の統計によると、私たちの実質賃金は4か月連続でマイナスとなっています。2024年11月の給与総額は前年同月比で3.0%増加しましたが、物価上昇により実質的な賃金は0.3%減少しているのです。
この状況は一時的なものではありません。過去数年間、給与の伸びは物価上昇に追いついておらず、実質的な購買力は徐々に低下しています。会社員として真面目に働き、昇給を重ねていても、実質的な生活水準は改善していかない―。これが今の日本の現実なのです。
はじめに結論:投資による資産形成が不可欠
物価上昇が続く今の日本で、給与収入だけに頼っていては、確実に生活水準が低下していきます。これは個人の努力や企業の賃上げだけでは解決が難しい、構造的な問題となっています。
実際の数字で見てみましょう:
- 2020年1月から2024年11月までの実質賃金の変化:約8.3%の低下
- 同期間のeMAXIS Slim S&P500の上昇率:約125.4%の上昇
- 預金金利:0.002%程度
このグラフが示すように、給与収入と預貯金だけに依存することは、確実に購買力の低下につながっています。一方で、投資による資産形成を行っていれば、この期間に大きな資産の成長を実現できていました。
特に注目すべきは、この差が年々拡大していることです。給与所得者が今後も安定した生活水準を維持し、さらには向上させていくためには、投資による資産形成は「選択」ではなく「必要」なものとなっているのです。
理由:なぜ給与だけでは不十分なのか
実質賃金の継続的な低下
実質賃金とは、物価の変動を考慮した実質的な賃金の価値を表すものです。名目賃金(実際に支払われる金額)から物価上昇分を差し引いて計算します。
このグラフが示すように、2020年1月を基準(100)とした場合、実質賃金は継続的に低下し、2024年11月には91.7まで下落しています。これは月収30万円の場合、実質的な購買力が約24,900円も低下したことを意味します。
重要なのは、この低下が一時的な現象ではなく、構造的な問題だということです。グラフの推移を見ると、一時的な上昇はあるものの、長期的には下降トレンドが続いています。
物価上昇の影響
消費者物価指数を見ると、2020年1月から2024年11月にかけて約10%上昇しています。この上昇は以下の特徴を持っています:
- 持続的な上昇傾向
- 一時的な変動はあるものの、基調として上昇が続いている
- 特に2022年以降、上昇ペースが加速
- 幅広い品目での上昇
- 食品、エネルギー、日用品など生活必需品での顕著な上昇
- サービス価格も上昇傾向
資本収益率と経済成長率の関係(r>g)
経済学者のトマ・ピケティが指摘した「r>g」という概念は、現代社会における重要な経済法則を示しています:
- r:資本収益率(投資のリターン)
- g:経済成長率(賃金の伸び)
このグラフは、まさにr>gの概念を実証しています。2020年1月から2024年11月までの期間で:
- 実質賃金(g):約8.3%の低下
- eMAXIS Slim S&P500(r):約125.4%の上昇
この差は、投資をしている人としていない人の間で、大きな資産格差を生む原因となっています。特に注目すべきは、この差が時間とともに拡大している点です。
具体例:データが示す投資の効果
実質賃金低下の具体例
月収30万円の会社員を例に、実質賃金の低下が実際の生活に与える影響を見てみましょう。
このグラフが示すように、月収は30万円と変わらないにもかかわらず、実質的な購買力は:
- 2020年1月:30万円
- 2024年11月:27万5,100円
と、約2万4,900円も低下しています。
これは年間では約30万円の購買力低下を意味します。具体的には:
- 毎月の食費で約8,000円分
- 光熱費で約5,000円分
- その他の生活費で約11,900円分
の価値が失われている計算になります。
投資による資産形成の効果
では、この実質賃金の低下に対して、投資ではどのような効果が得られたのでしょうか。
毎月1万円を継続的に投資した場合:
- 総投資額:59万円
- 2024年11月時点の評価額:約133万円
- 投資収益:約74万円
このシミュレーションが示すように、毎月の給与から1万円という比較的少額の投資でも、4年間で約74万円の収益を得ることができました。これは実質賃金の低下による購買力の減少分(年間約30万円)を十分にカバーする金額となっています。
長期投資の累積効果
さらに重要なのは、この差が時間とともに拡大していることです。2020年1月を基準(100)とした場合:
- 実質賃金:91.7(8.3%の低下)
- eMAXIS Slim S&P500:225.4(125.4%の上昇)
この大きな差は、投資を始めるタイミングの重要性を示しています。投資を1年遅らせるごとに、この複利効果の恩恵を受ける期間が短くなってしまうのです。
まとめ:今すぐ始めるべき理由
ここまで見てきたデータが示すように、給与所得だけに頼っていては、確実に生活水準が低下していく時代に入っています。
このグラフが明確に示しているように、2020年1月から2024年11月までの期間で:
- 実質賃金は約8.3%低下
- 一方でeMAXIS Slim S&P500は約125.4%上昇
さらに重要なのは、この差が時間とともに拡大していることです。
月収30万円の会社員の例で見たように、実質賃金の低下は確実に私たちの生活に影響を与えています:
- 2020年1月:30万円の購買力
- 2024年11月:27.5万円相当の購買力
- 4年間で約2.5万円の実質的な収入減少
この状況に対して、投資による資産形成は有効な対策となります。毎月1万円という少額からでも、長期的な視点で始めることで、実質賃金の低下を補う以上の効果が期待できます。
重要なのは以下の3点です:
- 早期開始の重要性
- 複利効果は時間とともに大きくなる
- 開始を遅らせるほど、得られる効果は小さくなる
- 継続性の重要性
- 市場の短期的な変動に惑わされない
- 定期的な積立投資で平均取得単価を抑える
- 長期的な視点
- 世界経済の成長の恩恵を受ける
- インフレに対する防衛力を持つ
給与が実質的に目減りしていく今だからこそ、投資による資産形成は「選択」ではなく「必要」なものとなっているのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。このブログでは引き続き投資初心者のあなたに向けて、わかりやすく実践的な情報を定期的に配信していきます。ブログのシェアやコメントお待ちしております。
ではまた、次の記事でお会いしましょう。ロキでした。
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